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2015年8月21日更新 | 一般財団法人 日本税務協会

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(1)

相続税法の改正

はじめに

 本稿では、平成27年度税制改正に盛り込まれた 事項のうち、相続税法関係の改正の概要について 説明します。

 これらの改正事項が盛り込まれた所得税法等の 一部を改正する法律は、去る 3 月31日に可決・成 立し、同日、法律第 9 号として公布されています。

また、以下の関係政省令もそれぞれ公布・制定さ れています。

・ 相続税法施行令の一部を改正する政令(平成 27年政令第144号)

・ 復興特別所得税に関する政令の一部を改正す る政令(平成27年政令第152号)

・ 相続税法施行規則の一部を改正する省令(平 成27年財務省令第24号)

一 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設に伴う相続税

及び贈与税の納税義務等の見直し

1  改正前の制度の概要

⑴ 相続税及び贈与税の納税義務

 相続税の納税義務者の区分とその納税義務の 範囲は、次のとおりとされています(旧相法 1 の 3 )。

① 無制限納税義務者

 相続又は遺贈により取得した財産の全てに ついて納税義務を負う者で次に掲げる者をい います。

イ 相続又は遺贈により財産を取得した個人 でその取得した時において日本国内に住所 を有する者

ロ 相続又は遺贈により財産を取得した次に 掲げる個人でその財産を取得した時におい て日本国内に住所を有しない者

イ 日本国籍を有する個人(その個人又は 被相続人が相続開始前 5 年以内のいずれ

かの時において日本国内に住所を有して いたことがある場合に限ります。) ロ 日本国籍を有しない個人(被相続人が

相続開始の時において日本国内に住所を 有していた場合に限ります。)

② 制限納税義務者

 相続又は遺贈により財産を取得した個人で その財産を取得した時において日本国内に住 所を有しない者(上記①ロの者を除きます。) については、その相続又は遺贈により取得し た財産のうち日本国内にある財産のみに対し て相続税を納める義務があるものとされてい ます。

③ 特定納税義務者

 被相続人から相続又は遺贈により財産を取 得しなかった者のうち、相続税法第21条の16 第 1 項の規定により相続時精算課税の適用を 受ける財産をその被相続人から相続又は遺贈

目    次

一 国外転出をする場合の譲渡所得等の特 例の創設に伴う相続税及び贈与税の納税 義務等の見直し 536

(2)

により取得したものとみなされるものをいい ます。

(注) 上記③を除き、贈与税の納税義務に関して も相続税の納税義務(上記①及び②)と同様 となっていました(旧相法 1 の 4 )。

⑵ 債務控除

① 無制限納税義務者

 相続又は遺贈により取得した財産の価額か ら、次の金額のうちその者の負担に属する部 分の金額を控除した金額を、その者の課税価 格とすることとされています(旧相法13①)。 イ 被相続人の債務で相続開始の際、現に存

するもの(公租公課を含みます。) ロ 被相続人に係る葬式費用 ② 制限納税義務者

 相続又は遺贈により取得した財産で日本国 内にあるものの価額から、次の金額のうちそ の者の負担に属する部分の金額を控除した金 額をその者の課税価格とすることとされてい ます(旧相法13②)。

イ その財産に係る公租公課

ロ その財産を目的とする抵当権等で担保さ れる債務

ハ その財産の取得、維持管理のために生じ た債務

ニ その財産に関する贈与の義務

ホ 被相続人が国内に営業所等を有していた 場合における営業上の債務

(注) 上記の「公租公課」には、被相続人の死亡 の際、債務の確定しているものの金額のほか、 被相続人に係る所得税(例:準確定申告によ る所得税)、相続税、贈与税、登録免許税等の 税額で被相続人の死亡後相続税の納税義務者 が納付し、徴収されることとなった税額を含 みます。ただし、相続人の責めに帰すべき事 由により納付することとなった延滞税、利子税、 加算税等は含みません。

⑶ 更正の請求の特則

 相続税又は贈与税の申告書を提出した者は、 一定の事由により申告又は決定に係る課税価格 及び相続税額又は贈与税額が過大となったとき は、その事由が生じたことを知った日の翌日か ら 4 か月以内に更正の請求をすることができる こととされています(旧相法32①、旧相令 8 )。

(注) 「一定の事由」とは、次に掲げる事由をいい ます。

① 未分割財産が分割されたこと。

② 認知等により相続人に異動を生じたこと。 ③ 遺留分減殺請求に基づき返還すべき、又

は弁償すべき額が確定したこと。

④ 遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があ ったこと。

⑤ 条件付きで物納の許可が行われた場合に おいて物納に充てた財産について一定の事 由が生じたこと。

⑥ 民法第910条の規定による価額請求が行わ れたことその他の①~⑤に準ずる事由が生 じたこと。

⑦ 相続財産法人から相続財産の分与を受け たこと。

⑧ 遺産分割により配偶者の税額軽減を適用 して計算した相続税額に異動を生じたこと。 ⑨ 贈与税の課税価格に算入した財産のうち

に相続開始と同年中の贈与により取得した 財産で相続税の課税価格に加算されるもの があったこと。

2  改正の内容

⑴ 改正の趣旨

(3)

特例を創設することとされました(詳細は、前 掲の「所得税法等(国外転出時の特例の創設) の改正」をご参照ください。)。

 この特例では最長10年間の納税猶予の適用を 受けることができますが、その納税猶予期間中 は、相続税・贈与税の納税義務の判定において 国内に住所を有していたのと同様の扱いとする など、この特例の創設に併せ相続税法において も所要の整備が行われています。

⑵ 具体的内容

① 納税義務の範囲

 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例 (所法60の 2 )又は贈与等により非居住者に 資産が移転した場合の譲渡所得等の特例(所 法60の 3 )の規定により所得税を課税された 後、国外転出をした者又は贈与者若しくは相 続人が所得税の納税猶予を適用した場合には、 納税猶予期間中に納税猶予を適用している者 等が死亡した場合又は財産の贈与をした場合 の相続税又は贈与税の納税義務の判定に際し ては、その者は相続の開始又は贈与前 5 年以 内に相続税法の施行地に住所を有していたも のとみなして課税関係を整理することとされ ました。

 具体的な措置の内容は、次のとおりです。 イ 相続税

 所得税法第137条の 2 又は第137条の 3 の 規定の適用がある場合における納税義務の 範囲については、次のとおりとされました (相法 1 の 3 ②)。

イ 国外転出をしたことにより一定の株式 等の特定の資産(以下「対象資産」とい います。)の含み益に対して所得税が課 され、所得税法第137条の 2 第 1 項の納 税猶予の適用を受け、さらに同条第 2 項 の規定により納税猶予期間を10年に延長 している個人が死亡した場合には、その 個人は、相続税の納税義務の判定にあた っては、その死亡に係る相続の開始前 5

年以内のいずれかの時において日本国内 に住所を有していたものとみなされます。 ロ 非居住者に対象資産を贈与したことに

より所得税が課され、所得税法第137条 の 3 第 1 項(同条第 3 項の規定により納 税猶予期間を10年に延長している場合を 含みます。)の納税猶予の適用を受けて いる者(ロにおいて「贈与者」といいま す。)から当該贈与により財産を取得し た者(ロにおいて「受贈者」といいま す。)が死亡した場合には、その受贈者 は、相続税の納税義務の判定にあたって は、その受贈者の死亡に係る相続の開始 前 5 年以内のいずれかの時において日本 国内に住所を有していたものとみなされ ます。ただし、その受贈者が、所得税の 課税に係る贈与の前 5 年以内のいずれの 時においても日本国内に住所を有してい たことがない場合には、この規定の適用 はありません。

(4)

ロ 贈与税

 所得税法第137条の 2 又は第137条の 3 の 規定の適用がある場合における納税義務の 範囲については、次のとおりとされました (相法 1 の 4 ②)。

イ 国外転出をしたことにより対象資産に ついて所得税が課され、所得税法第137 条の 2 第 1 項の納税猶予の適用を受け、 さらに同条第 2 項の規定により納税猶予 期間を10年に延長している個人が財産の 贈与をした場合には、その個人は、贈与 税の納税義務の判定にあたっては、その 贈与の前 5 年以内のいずれかの時におい て日本国内に住所を有していたものとみ なされます。

ロ 非居住者に対象資産の贈与(ロにおい て「一次贈与」といいます。)をしたこ とにより所得税が課され、所得税法第 137条の 3 第 1 項(同条第 3 項の規定に より納税猶予期間を10年に延長している 場合を含みます。)の納税猶予の適用を 受けている者から一次贈与により財産を 取得した者(ロにおいて「一次受贈者」 といいます。)が財産の贈与(ロにおい て「二次贈与」といいます。)をした場 合には、その一次受贈者は、贈与税の納 税義務の判定にあたっては、その二次贈 与の前 5 年以内のいずれかの時において 日本国内に住所を有していたものとみな されます。ただし、一次受贈者が一次贈 与の前 5 年以内のいずれの時においても 日本国内に住所を有していたことがない 場合には、この規定の適用はありません。 ハ 居住者(ハにおいて「被相続人」とい

います。)が死亡し対象資産を相続した 非居住者である相続人が、被相続人に課 された所得税について所得税法第137条 の 3 第 2 項(同条第 3 項の規定により納 税猶予期間を10年に延長している場合を 含みます。)の納税猶予の適用を受けて

いた場合において、その相続人が財産の 贈与をした場合には、その相続人は、贈 与税の納税義務の判定にあたっては、そ の贈与の前 5 年以内のいずれかの時にお いて日本国内に住所を有していたものと みなされます。ただし、その相続人が相 続の開始前 5 年以内のいずれの時におい ても日本国内に住所を有していたことが ない場合には、この規定の適用はありま せん。

② 債務控除

 所得税法の改正に伴い控除できる公租公課 の範囲が見直されました。

 国外転出等をする場合に対象資産の含み益 に課される所得税のうち納税猶予の適用を受 けている部分については、納税猶予を適用し ている者が対象資産を譲渡せず日本に帰国し た場合等には、所得税の課税を取り消すこと ができることとされていることから、税負担 が生じないこととなります。他方、相続税の 債務控除においては、相続の開始時において 確実と認められる債務のみが控除の対象とさ れています。これを踏まえると、将来的に納 付の必要がなくなる可能性がある所得税を債 務控除することはバランスを欠くことから、 納税猶予分の所得税額については債務控除の 対象としないこととされました(相法14③本 文、相令 3 ②本文)。

 ただし、猶予期間中に対象資産の譲渡があ ったことにより納税猶予期間が終了したこと 等によりに納税猶予されていた所得税を納付 した場合には、その時点で債務控除が可能と なり、次の③の更正の請求の特則の手続によ り債務控除ができることとされました(相法 14③ただし書、相令 3 ②ただし書)。

(注) 上記の「納税猶予分の所得税額」とは、 次のイの金額からロの金額を控除した金額 をいいます。

(5)

ロ 対象資産につき所得税法第60条の 2 第 1 項から第 3 項までの規定の適用がない ものとした場合における国外転出の日の 属する年分の所得税法第120条第 1 項第 3 号に掲げる金額

 具体的には、債務控除の対象となる公租公 課の範囲から、次の所得税が除かれています。 イ 死亡の際、既に行われた確定申告により

納税義務が確定していたが納税猶予を適用 していた次の所得税(相法14③)

イ 国外転出をしたことにより対象資産に ついて所得税が課され、所得税法第137 条の 2 第 1 項(同条第 2 項の規定により 納税猶予期間が10年に延長された場合を 含みます。)の納税猶予の適用を受けて いた者が死亡した場合の相続税における その死亡した者から納付義務を承継した 納税猶予分の所得税額に相当する所得税 ロ 非居住者に対象資産を贈与したことに より所得税が課され、所得税法第137条 の 3 第 1 項(同条第 3 項の規定により納 税猶予期間が10年に延長された場合を含 みます。)の納税猶予の適用を受けてい た贈与者が死亡した場合の相続税におけ るその贈与者から納付義務を承継した納 税猶予分の所得税額に相当する所得税 ハ 居住者(ハにおいて「被相続人」とい

います。)が死亡し対象資産を相続した 非居住者(ハにおいて「一次相続人」と いいます。)が、被相続人に課された所 得税について所得税法第137条の 3 第 2 項(同条第 3 項の規定により納税猶予期 間を10年に延長している場合を含みま す。)の納税猶予の適用を受けていた場 合において、その一次相続人が死亡(二 次相続)をしたときは、二次相続の相続 人が一次相続人から納付義務を承継した 納税猶予分の所得税額に相当する所得税 ロ 居住者(ロにおいて「被相続人」といい ます。)が死亡し対象資産を相続した非居

住者が、被相続人に課された所得税につい て所得税法第137条の 3 第 2 項(同条第 3 項の規定により納税猶予期間を10年に延長 している場合を含みます。)の納税猶予の 適用を受けていた場合(すなわち、被相続 人の死亡時にはまだ租税債権が確定してい なかったものの、準確定申告により租税債 権が確定した所得税について納税猶予を適 用していた場合)における納税猶予分の所 得税額に相当する所得税(相令 3 ②)

(備考) 納税猶予が終了し、納税猶予分の所得税 額に相当する所得税を納付した場合には、 これらの税額は相続税の計算上債務控除の 対象となりますが、その場合、納税猶予分 の所得税額の本税に併せ、所得税の納期限 から相続開始の日までの期間に対応する利 子税を控除することができます。ただし、 相続開始後の期間に対応する利子税は、他 の附帯税と同様に控除することはできませ ん。

 なお、上記ロの納税猶予分の所得税額に 係る利子税については、全て相続人の猶予 期間に対応するものであることから、控除 できる利子税はありません。

③ 更正の請求の特則

 上記②のとおり、納税猶予分の所得税額に 相当する所得税を納付した場合には債務控除 の対象となります。その場合、納税猶予の適 用を受けていた所得税の納付という後発的な 事由により債務控除が可能となる、すなわち 課税価格及び相続税額が減少しますが、相続 税の申告内容を訂正する手続きが必要となる ことから、更正の請求の特則の該当事由に納 税猶予分の所得税額を納付したことが追加さ れました。

 具体的には、次に掲げる場合には、相続税 の更正の請求ができることとされました(相 法32①九イ・ロ、相令 8 ③)。

(6)

得税額に係る納付の義務を承継したその者 の相続人がその納税猶予分の所得税額に相 当する所得税を納付することとなったこと。 ロ 所得税法第137条の 3 第15項の規定によ

り適用贈与者等に係る納税猶予分の所得税 額に係る納付の義務を承継したその適用贈 与者等の相続人が納税猶予分の所得税額に 相当する所得税を納付することとなったこ と。

(注) 「適用贈与者等」とは、対象資産を贈与 したことにより所得税が課され納税猶予 を適用している者及び非居住者が対象資 産を相続したことにより所得税が課され た被相続人の相続人で納税猶予を適用し ている者をいいます。

ハ 所得税法第137条の 3 第 2 項の規定の適 用を受ける相続人が納税猶予分の所得税額 に相当する所得税を納付することとなった こと。

 なお、猶予期間中に対象資産の譲渡があっ

たことや納税猶予期間が終了したこと等によ り納税猶予の適用を受けていた所得税を納付 することとなった場合には更正の請求が可能 となるため、所得税の準確定申告の場合と同 様に、実際にその所得税を納付したか否かは 更正の請求の可否に影響ありません。

(注) 上記②と③の納税猶予分の所得税額には、 所得税法の規定による納税猶予分の所得税額 のほか、この納税猶予分の所得税額に係る東 日本大震災からの復興のための施策を実施す るために必要な財源の確保に関する特別措置 法の規定の適用に係る復興特別所得税の額が 含まれます(復興特別所得税に関する政令13)。

3  適用関係

 上記の改正は、平成27年 7 月 1 日以後に相続又 は遺贈により取得する財産に係る相続税及び同日 以後に贈与により取得する財産に係る贈与税につ いて適用されます(改正法附則 1 二ロ、34①~③)。

二 保険に関する調書の見直し

1  改正前の制度の概要

 保険会社等又は退職手当金を支給した者で日本 国内に営業所等を有するものは、その月中に支払 った生命保険契約の保険金若しくは一定の損害保 険契約の保険金又は退職手当金等について、原則 として翌月15日までに、受取人別又は受給者別の 調書をその営業所等の所在地の所轄税務署長に提 出しなければなりません(相法59①、相令30①、 相規30①)。

2  改正の趣旨及び内容

 保険契約者は解約によりいつでも解約返戻金を 受け取ることができるため、保険契約者が死亡し た場合には、その者の払込保険料により形成され た解約返戻金相当額については、生命保険契約に 関する権利として相続税が課税されますが、改正

前の調書制度では保険契約者の死亡により契約者 名義が相続人に変更されても、保険金の支払事由 が生じていないため調書が提出されず、税務署が 把握するのは容易ではありませんでした。このた め、生命保険契約に関する権利について申告が漏 れている場合がありました。

(7)

 こうした問題に対応するため、保険に関する調 書について、次の見直しを行うこととされました。

⑴ 死亡による契約者変更の場合の調書の創設

 保険会社等で日本国内に営業所等を有するも のは、生命保険契約又は損害保険契約の契約者 が死亡したことに伴いこれらの契約の契約者の 変更の手続を行った場合には、その変更の効力 が生じた日の属する年の翌年 1 月31日までに、 一定の事項を記載した調書をその調書を作成し た営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しな ければならないこととされました。

(注 1 ) 「保険会社等」とは保険業又は共済事業を 行う者をいい、「営業所等」とは営業所、事 務所その他これらに準ずるものをいいます。 (注 2 ) 調書に記載すべき事項は、次のとおりで

す(新相規30⑤)。

イ その変更後の契約者の氏名又は名称及 び住所若しくは居所又は本店若しくは主 たる事務所の所在地

ロ その変更前の契約者の氏名及び住所又 は居所

ハ その変更前の契約者が死亡した日 ニ その変更の効力が生じた日

ホ 上記ハ又はニのいずれかの日における その変更に係る契約の解約返戻金相当額 へ 保険料の総額及び上記ロの契約者が払

い込んだ保険料の金額 ト その他参考となるべき事項

(注 3 ) 次の契約については調書を提出する必要 はありません(新相規30⑥)。

イ 解約返戻金相当額が100万円以下である 生命保険契約又は損害保険契約

ロ 一定期間内に保険事故(共済事故を含 みます。)が発生しなかった場合において 返還金その他これに準ずるものの支払が ない生命保険契約又は損害保険契約 ハ 次に掲げる契約

イ 独立行政法人中小企業基盤整備機構 と締結した共済契約のうち一定のもの

ロ 条例の規定により地方公共団体が精 神又は身体に障害のある者に関して実 施する共済制度に係る契約

ハ 条例の規定により地方公共団体が交 通事故に基因する傷害に関して実施す る共済制度に係る契約

ニ 普通保険約款において、団体又は団体 の代表者を契約者とし、当該団体に所属 する者を被保険者とすることとなってい る生命保険契約又は損害保険契約 ホ マンションの管理組合又は管理者等を

契約者とし、その共用部分又は団地共用 部分を保険の目的とする損害保険契約

⑵ 保険金等の支払調書の記載事項の追加

 保険金の支払をする保険会社等で日本国内に 営業所等を有するものは、保険金の支払を受け る者の各人別に、次に掲げる事項を記載した調 書を作成しなければならないこととされました。  なお、次の①から⑤までは改正前から記載す べきとされていた事項であり、次の⑥が今般の 改正により記載事項として追加された項目です (新相規30①)。

【改正前からの記載事項】

① その支払を受ける者の氏名又は名称及び住 所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務 所の所在地

※ 平成28年 1 月 1 日以後は、個人番号又は 法人番号が追加されます。

② その月中に支払った保険金の金額

③ その支払の基礎となる契約に係る保険料の 総額

④ その支払の確定した日

⑤ その支払の直前において契約者であった者 (以下「現契約者」いいます。)の氏名又は名 称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主 たる事務所の所在地

※ 平成28年 1 月 1 日以後は、個人番号又は 法人番号が追加されます。

(8)

⑥ 契約(上記の(注 3 )ハからホまでの契 約を除きます。)の締結後にその契約に係る 契約者の変更(その契約に係る契約者の死亡 に伴い行われるものを除きます。)が行われ た場合には、次に掲げる事項

イ 契約者の変更(その契約に係る契約者の 変更が 2 回以上行われた場合には、最後の 契約者の変更)前の契約者の氏名又は名称 及び住所若しくは居所又は本店若しくは主 たる事務所の所在地

ロ その契約に係る現契約者が払い込んだ保 険料の額

ハ その契約に係る契約者の変更が行われた 回数

3  適用関係

 上記2 ⑴の改正は、保険会社等の営業所等が生 命保険契約又は損害保険契約の契約者が死亡した ことに伴い契約者の変更の手続を行うことにより、 平成30年 1 月 1 日以後に変更の効力が生ずる場合 について適用されます(改正法附則34④)。  上記2 ⑵の改正は、保険会社等の営業所等が契 約者の変更(契約者の死亡に伴い行われるものを 除きます。)の手続を行うことにより、平成30年 1 月 1 日以後にその契約者の変更の効力が生じる 場合について適用されます。この場合、平成30年

1 月 1 日前に効力が生じた契約者の変更の回数は、 記載すべき変更の回数には含まれないものとされ ています(改正相規附則 3 )。

三 その他の見直し

1  個人番号制度の導入に伴う見直し

⑴ 改正の趣旨

 行政手続における特定の個人を識別するため の番号の利用等に関する法律においては、税務 当局に提出される確定申告書や法定調書等につ いて、番号(個人番号及び法人番号)を用いて 効率的に名寄せ・突合することを可能とし、よ り正確な所得把握に資する観点から、税法に基 づき税務当局が行う国税の賦課・徴収に関する 事務(申告書の処理、調査等)に番号を活用す ることとされています。

 各税法においては、こうした対応が可能とな るよう、税務当局に提出される申告書・法定調 書等については、その提出者(申告を行う者、 法定調書の提出義務者等)に対し、提出者本人 及び記載項目とされている第三者(扶養控除の 対象者、給与等の支払を受ける者等)に係る番 号の記載を求めることとされました。

 改正の背景及び趣旨の詳細については、後掲 の「行政手続における特定の個人を識別するた めの番号の利用等に関する法律の施行に伴う国

税通則法等の改正(平成28年 1 月マイナンバー 利用開始)」をご参照ください。

⑵ 改正の内容

 各税法の規定により記載事項を定めている場 合には、それぞれの規定により行政手続におけ る特定の個人を識別するための番号の利用等に 関する法律第 2 条第 5 項に規定する個人番号又 は同条第15項に規定する法人番号を記載するこ ととされました。

 具体的には、次の書類の記載事項としてこれ らの書類を提出する者の個人番号又は法人番号 が追加されました。

【相続税法施行令に記載事項を規定するもの】 ① 障害者非課税信託申告書※(相令 4 の10

①)

【租税特別措置法施行令に記載事項を規定するも の】

② 特例適用農地等の変更届出書(措令40の 6 、40の 7 )

(9)

④ 代替農地等の取得又は都市営農農地等該当 に関する承認申請書(措令40の 6 、40の 7 )

⑤ 一時的道路用地等としての貸付けに関する 承認申請書(措令40の 6 、40の 7 ) ⑥ 一時的道路用地等としての貸付けに係る貸

付期限の延長届出書(措令40の 6 、40の 7 )

⑦ (農地についての)納税猶予の継続届出書 (措令40の 6 、40の 7 )

⑧ (農地についての)免除届出書(措令40の 6 、40の 7 )

⑨ 山林についての納税猶予の継続届出書(措 令40の 7 の 4 ⑰)

⑩ 非上場株式等についての納税猶予の継続届 出書(措令40の 8 、40の 8 の 2 ) ⑪ 医療法人の持分に係る経済的利益について

の納税猶予の免除届出書(措令40の 8 の 4 ⑪)

【相続税法施行規則に記載事項を規定するもの】 ⑫ 遺産が未分割であることについてやむを得 ない事由がある旨の承認申請書(相規 1 の 6 ①ほか)

⑬ 障害者非課税信託取消申告書※(相規 3 ①)

⑭ 障害者非課税信託廃止申告書※(相規 4 ①)

⑮ 障害者非課税信託に関する異動申告書※ (相規 5 ①②)

⑯ 障害者非課税信託の受託者の変更があった 場合に提出する書類(相規 6 )

⑰ 相続税の申告書(相規13①) ⑱ 贈与税の申告書(相規17①)

⑲ 贈与税の申告内容の開示請求書(相規29① ②)

⑳ 支払調書等の光ディスク等による提出承認 申請書・支払調書等の本店等一括提出に係る 承認申請書(相規30⑫⑬)

 幼稚園教育用財産の取得・廃止・現況届出 書(相規附則④⑤)

 家事充当金額の限度額の認定(変更)申請 書(相規附則⑧)

【租税特別措置法施行規則に記載事項を規定する もの】

 特定受贈森林経営計画対象山林に係る届出 書(措規23の 2 の 2 ⑥⑨)

 特例農地等についての使用貸借による権利 の設定に関する届出書(措規23の 7 ⑨)  推定相続人の死亡に伴う他の推定相続人等

に対する使用貸借による権利の設定に関する 届出書(措規23の 7 ⑫)

 推定相続人の死亡に伴う受贈者の農業経営 開始の届出書(措規23の 7 ⑭)

 特例適用農地等について農用地利用集積計 画の定めるところによる賃借権等の設定に基 づき貸し付けた旨の届出書(措規23の 7 ⑯)  貸付特例適用農地等に係る継続届出書(措

規23の 7 ⑲)

 貸付特例適用農地等の(変更)届出書(措 規23の 7 )

 代替農地等の取得価額等の明細書(措規23 の 7 )

 買取りの申出等に伴う代替農地等の取得価 額等に関する明細書(措規23の 7 )  都市営農農地等該当に関する明細書(措規

23の 7 )

 一時的道路用地等としての貸付けに係る継 続貸付届出書(措規23の 7 )

 一時的道路用地等としての貸付けに係る地 上権等が消滅した旨の届出書(措規23の 7 )

 営農困難時貸付けに関する届出書(措規23 の 7 )

 耕作の放棄又は賃借権等の消滅があった営 農困難時貸付農地等について新たな営農困難 時貸付けを行った旨の届出書、耕作の放棄又 は賃借権等の消滅があった営農困難時貸付農 地等を自己の農業の用に供した旨の届出書 (措規23の 7 )

(10)

農困難時貸付農地等に係る新たな営農困難時 貸付けに関する承認申請書(措規23の 7 )  納税猶予の特定貸付けに関する届出書(措

規23の 7 の 2 ①、23の 8 の 2 ①)

 賃借権等の消滅又は耕作の放棄があった特 定貸付農地等について新たな特定貸付けを行 った旨の届出書、賃借権等の消滅又は耕作の 放棄があった特定貸付農地等を自己の農業の 用に供した旨の届出書(措規23の 7 の 2 ③)  賃借権等の消滅又は耕作の放棄があった特 定貸付農地等に係る新たな特定貸付けに関す る承認申請書(措規23の 7 の 2 ⑤)

 山林についての相続税の納税猶予の免除届 出書(措規23の 8 の 4 )

 非上場株式等についての納税猶予の免除届 出書(死亡免除・特例免除)(措規23の 9 、 23の10)

 非上場株式等についての納税猶予の免除申 請書(措規23の 9 、23の10)

 非上場株式等についての納税猶予の再計算 免除申請書(措規23の 9 )

 納税猶予の適用を受けている農地等につい て収用交換等による譲渡を行った場合の利子 税の特例の適用に関する届出書(措規23の13 ①)

(注) 上記の条番号等は平成27年度税制改正後の ものです。

 なお、過去の一部改正法の附則を根拠にす る書類は省略しています。

 また、上に掲げていない書類であっても、 国税通則法の規定により個人番号の記載を求 められる書類があります。

 上記のうち①及び⑬~⑮の書類(※を付し たもの)については、金融機関を経由して提 出することとされているため、これらの書類 を受理した金融機関の営業所等の長は、その 金融機関の法人番号を付記した上で、税務署 長へ提出することとされています。

⑶ 適用関係

 上記の改正は、原則として、行政手続におけ る特定の個人を識別するための番号の利用等に 関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関 する法律(平成25年法律第28号)附則第 3 号に 掲げる規定の施行の日(平成28年 1 月 1 日)以 後に提出する書類について適用されます(行政 手続における特定の個人を識別するための番号 の利用等に関する法律及び行政手続における特 定の個人を識別するための番号の利用等に関す る法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する 法律の施行に伴う財務省関係政令の整備に関す る政令 4 、 8 ~、平成26年 7 月改正相規附 則 2 、平成26年 7 月改正措規附則46)。  ただし、上記⑰⑱の申告書については、平 成28年 1 月 1 日以後の相続若しくは遺贈又は贈 与により取得した財産に係る相続税又は贈与税 について適用されます(平成26年 7 月改正相規 附則 2 ⑥)。

2  申告書の添付書類の見直し

⑴ 改正前の制度の概要

 次の特例については、納税者自身が居住する ことを要件とすること又は過去の住所を確認す る必要があることから、特例の適用を受けるた めには申告書等に住民票の写し又は戸籍の附票 の写しを添付する必要がありました。

① 贈与税の配偶者控除(相法21の 6 、旧相規 9 柱書・三)

② 相続時精算課税制度の選択(相法21の 9 、 旧相規11①一)

③ 小規模宅地等についての相続税の課税価格 の計算の特例(措法69の 4 、旧措規23の 2 ⑦ 二ロ・ハ)

(11)

法70の 3 、旧措規23の 6 ⑨一イ⑵・ロ⑶・ハ ⑷、二イ⑵・ロ⑶・ハ⑴⑵、三イ⑵・ロ⑶・ ハ⑷)

⑥ 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅 取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非 課税(震災税特法38の 2 、旧震災税特規14の 2 ⑫一イ⑸・ロ⑶・ハ⑷、二イ⑵・ロ⑶・ハ ⑴⑵、三イ⑵・ロ⑶・ハ⑷)

⑵ 改正の内容

 上記1のとおり、個人番号が導入されること に伴い、上記の各種特例については、申告が あった場合に税務署長が行政手続における特定 の個人を識別するための番号の利用等に関する 法律の規定により氏名及び住所等を確認するこ とができることになったことから、住民票の写 しや戸籍の附票の写しの添付を要しないことと されました。

 なお、上記③の小規模宅地等についての相 続税の課税価格の計算の特例については、国外 に居住する者であっても要件を満たせば特例の 適用が可能であることから、その者が個人番号 を有しない可能性もあり、税務署長が個人番号

で居住の事実を確認できない場合があることか ら、個人番号を有しない者にあっては、その者 が特定居住用宅地等である小規模宅地等を自己 の居住の用に供していることを明らかにする書 類等を提出する必要があります。

⑶ 適用関係

 上記の改正は、原則として、行政手続におけ る特定の個人を識別するための番号の利用等に 関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関 する法律(平成25年法律第28号)附則第 3 号に 掲げる規定の施行の日(平成28年 1 月 1 日)以 後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する 財産に係る相続税又は贈与税について適用され ます。

参照

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